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もし飛行機に雷が落ちたら

雷の入口と出口

雷は平面よりも尖った所から出入りしやすい性質があります。
そのため雷が飛行機に落ちる時は、比較的に機体の先端部分や尖った所へ落ちやすくなります。
主翼や尾翼の先端や角になった部分、アンテナのような突起物や機首先端といった箇所です。
また、雷は飛行機を通り抜けるため、雷が入った所と出た所に損傷が発生しやすくなります。

雷が出入りした部分は高熱のために損傷しやすいのですが、大抵の場合、機体表面の軽い損傷ですむことが多いものです。例外もありますが、多いのは楊枝でつついたような溶け跡や、表面をコテでチョンと溶かしたような跡ができる程度です。
飛行機に搭載しているコンピューターも、雷で壊れることは滅多にありません。そのため、前頁でも解説したように、飛行の安全に直ちに影響することはほとんどありません。
もちろん飛行機が受けた損傷は、どんなに軽微でも整備士さんがきちんと修理します。



飛行機には避雷針がある!?

飛行機は飛行中に空気やチリなどとの摩擦で、徐々に静電気が溜まります。静電気が溜まると問題が出るため、これを運航に支障がないように放電するために、「静電放電策 (スタティック・ディスチャージャー) 」という物がついています。


主翼にある棒のような静電放電策。
これは避雷針ではありません。
静電放電策はエンピツのような棒状で、通常、主翼や尾翼の後ろ側に何本も取り付けられています。形が棒状のために雷が入ったり出たりしやすく、落雷時によく損傷する部分でもあります。
もし雷が落ちると先端が溶けてしまったり、細いために付け根から溶けて飛んでしまいます。
(ちなみに静電放電策は飛行性能には直接関係なく、無くなっても飛行には支障ありません。)

主翼に取り付けられている静電放電策は、客室の窓から見ることができます。これを誤って、よく避雷針と誤解されている方がいらっしゃいます。これはあくまでも飛行機に溜まった静電気を放電するための物で、落雷に備えた避雷針ではありません。
静電気を逃がすのが目的のため、雷のような大電流・高電圧にはとても耐えることはできません。

避雷針の働きは、建物やアンテナなどへ落ちてきた雷を積極的に避雷針へ導き、落ちた雷を避雷針につながった接地線を通して地球に流し、建造物の損傷を防ぐことです。つまり、避雷針が身代わりとなって雷を受け、自分の接地線に電流を流し、保護する物に電気が流れないようにします。
飛んでいる飛行機に地表から接地線をつなぐことは不可能なので、避雷針を取り付けることはできないのです。



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