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飛行機と雷雲

どんなときに落雷を受けやすいか

飛んでいる飛行機には、しばしば雷が落ちることがあります。
何せ地球では、雷は一日に800万回も世界各地で発生しているそうなので、いつ飛行機に落ちてもおかしくありません。
雷が発生する場所は発達した積乱雲の中、俗に言う雷雲の中です。雲の中では激しい上昇気流により氷の粒やあられが摩擦し、静電気が発生して帯電して行きます。そして溜まった高い電圧の静電気は、電位差の大きい地球や他の雲に向かって放電され、雷になります。

よく飛行機に雷が落ちると言いますが、正確に言うと雷は飛行機を通過して行きます。
ちょうど帯電した電気が放電される経路に、空気よりも電気の流れやすい飛行機が飛んでいたため、一旦飛行機を通過して、その後再び地球、もしくは大気に放電されるのです。

大きく成長した積乱雲
通常、巡航中の飛行機は、なるべく危険な積乱雲を避けて飛んでいます。
積乱雲の影響は雷だけでなく、雲の中や周囲に非常に強い風が吹き荒れているため、強い揺れ(タービュランス)の原因にもなり、とても危険なのです。

パイロットは出発する前に、運航管理者とブリーフィングで飛行経路の気象情報をよく確認し、なるべく気流の穏やかな飛行ルートを選択します。
また、パイロットは飛行中、いつも前方にある雲を目視で監視したり、飛行機に搭載している気象レーダーをチェックして、積乱雲に近づかないように注意して飛んでいます。

しかし、広い空を好きなルートを選んで飛べる時は良いのですが、そうも行かない時期があります。
離陸してから巡航ルートに入るまで、もしくは空港に近づき、着陸態勢に入ってから空港に着陸するまでの一定期間は、パイロットは好きなルートを飛べないのです。
空港周辺の空域は、離陸する飛行機や着陸する飛行機でとても混雑しています。そのために、みんながバラバラに飛ぶと管制官がコントロールしきれず、衝突の危険が出てきます。
そこで空港周辺の空域には“空の道”が決められていて、順序良く安全に離着陸できるよう厳密なルールがあり、しっかりと交通整理されています。

そのルールのため、多少の積乱雲が前方にあっても、緊急時以外は自分の意思で自由に飛ぶことはできません。その結果、しばしば止むを得なく積乱雲に接近し、被雷してしまうことがあります。
つまり、ゆったりとクルージングしている時よりも、空港近くで離陸や着陸に関わる時間帯の方が、雷に遭遇する確立が高くなります。



もし、近くに雷雲が来たら・・・

小さな積乱雲ならまだ良いのですが、危険と分かっている大きな積乱雲に、わざわざ自分から危険を覚悟で近づくことはありません。
大きく発達して危険な積乱雲が空港周辺で発生した時は、離陸を一時見合わせたり、着陸を一時中止して上空で待機します。場合によっては他の空港へ目的地を変更します。

雷だけに限らず、他にもこのような厳しい気象条件の時は、パイロットは地上の運航管理者と密に気象情報を交換し、細心の注意を払って安全運航をしています。

また、空港に積乱雲が近づいてきた時は、飛行機だけでなく地上の整備士や作業員にも落雷の危険性があるため、一旦作業を中断して安全な場所へ避難します。
積乱雲は突然やっては来ませんので、気象レーダーを見ながら雲の接近状況に合わせて、段階的に作業の中止や退避の指示が出されます。

そのような時は作業に支障が出るため、当然出発は遅れてしまいます。また、もし飛行機が着陸して来たとしても、お客さんや貨物を降ろす作業はできなくなってしまいます。
時にはスポットに到着しても飛行機から降りられず、雷雲が通り過ぎるまで機内に缶詰め状態になることもあります。

では、もし不運にも自分が乗っている飛行機に雷が落ちてしまったら、飛行機は一体どうなってしまうのでしょうか?。とても心配ですね。
次のページでは、飛行機は雷に対してどんな対策がしてあるのか見てみます。。



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