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火山灰でエンジンが止まる?

どうして噴火すると危ないの?

多くの場合、火山が噴火すると噴火口より大量の火山灰が吹き出します。
噴出した火山灰は、時には航空機が飛ぶ高度よりも高く舞い上がることがあります。
そのため飛行機は高い高度を飛行していても、火山灰に遭遇する可能性があるので注意しなければいけません。火山灰は飛行機にとって厄介で危険な存在なのです。

火山灰は名前こそ“灰”と言いますが、成分は物が燃えた後の灰と全く違います。主に岩石の破片や鉱物の結晶、ガラス成分などから構成されています。

その中で、飛行機に最も致命的なダメージを与えるのが、ガラス成分です。なぜなら、ガラス成分によって、飛行中にエンジンが停止してしまう危険があるからです。

また他にも危険なダメージとして、細かい岩石や鉱物の結晶が高速で飛行している飛行機にぶつかることにより、衝突した部分が侵食してしまう問題があります。

ちょっと心配な火山ですが、火山の噴火活動はしっかり観測されており、火山灰の拡散情報を元に、安全な飛行ルートが設定されています。ですから心配なさらずに、どうぞ安心して飛行機の旅をしてください。



どうして火山灰でエンジンが止まるの?

1982年、ジャワ島の付近をブリティッシュ・エアウェイズのボーイング747が飛行していました。
ちょうどその時、ジャワ島にある火山が噴火していて、運悪くブリティッシュ・エアウェイズ機は火山灰の中を通過してしまいました。夜間飛行だったために、パイロットは火山灰が見えなかったのです。
その結果、4基あるボーイング747のエンジンが、一度に全て止まってしまったのです!。

幸い、その後ブリティッシュ・エアウェイズ機はエンジンを再始動できたため、大事に至ることは無く無事に空港へ緊急着陸できました。
でも、どうして4基もあるエンジンが一度に全部止まってしまったのでしょうか。
それはエンジンの構造と、火山灰のガラス成分に関係があります。

タービンブレード
(冷却の穴が無いタイプ)
飛行機のエンジンにはタービンブレードやタービンノズルという、小さな翼状の部品があります。
この部品は燃料が燃焼して発生した高温高圧のガス(約1000℃)を受け、エンジンの軸を回転させる非常に重要な部品です。
これらの部品は常に高温にさらされるため、冷やさないと熱で損傷しまいます。そのため冷却手段として、タービンブレードやタービンノズルの中から表面に向けて細い穴を無数に開け、それらの中から外へ冷却用の空気を吹き出して冷却しています。

もしエンジンが火山灰を吸い込むと、まずその冷却用の穴が詰まってしまいます。冷却されなくなったタービンブレードやタービンノズルは、燃焼ガスにより非常に高温になります。そして、高温になった部分に火山灰のガラス成分が接触すると、ガラス成分が溶けて表面に付着してしまいます。
その結果、燃焼ガスがスムーズに流れるように設計されていた形状が変わり、燃焼ガスの流れが乱され、エンジンが正常に回転できなくなります。そしてとうとう燃料の燃焼が続かなくなり、最終的にエンジンがストップするのです。
ブリティッシュ・エアウェイズ機も、このような原因でエンジンが止まりました。

次のページでは、細かい岩石や鉱物の結晶が衝突することによるダメージを考えます。



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