[ ホーム > 夜間の機内照明 > どうして夜の離着陸時は暗くなる？  ]

どうして夜の離着陸時は暗くなる？

暗い飛行機の外

航空会社によっては、夜間の離陸時と着陸時に機内の照明が暗くなってしまいます。
本や新聞を読んでいる人がいるかもしれないのに、なぜ、わざわざ暗くしてしまうのでしょうか。
空港の航空灯火や町のイルミネーションなど、きれいな夜景を楽しむためなのでしょうか。
いいえ、それは万が一のときの安全のためです。

離着陸時に事故や故障が発生したときは、飛行機から緊急脱出しなければならないかもしれません。
そして、緊急脱出した飛行機の外は、夜間であれば当然真っ暗です。
空港のターミナル周辺や駐機場周辺は街路灯があるため明るいのですが、滑走路や誘導路の周囲には照明が無いためです。

そのため、もし脱出する飛行機の中が明るければ、明るい場所から暗闇へと急に環境が変わることになります。
そこで問題となるのが、暗い場所に対する目の慣れです。



暗さに対する目の暗順応

明所から暗所へ環境が変化すると、人の目は暗さに適応する「暗順応」に一定の時間がかかります。映画を見に行ったとき、明るいロビーから暗くなったホールに入ると、暗順応するまではしばらく通路も座席も見えませんよね。

飛行機から緊急脱出するときは、緊急脱出用のスライド（滑り台）を使ったり、主翼の上から滑り降りることが考えられます。つまり機内から機外へと、一瞬にして環境が変わります。
もし夜間の飛行機の中が明るければ、一瞬にして暗闇に放り出されることになります。
その場合は当然、目は暗さに慣れていません。そのため足元はよく見えませんので、すぐに動き回れば危険です。
でも一刻を争う緊急事態のとき、機外に出て目が暗さに慣れるまで待っているわけにはいきませんよね。
そのため、暗い中で安全かつ速やかな緊急脱出をするためには、脱出するまでに暗順応をしておかなければなりません。

そう、夜間の離着陸時に機内照明を暗くするのは、夜間における万が一の緊急脱出に備えて、あらかじめ目を暗さに慣らしておくためなのです。

でも機内の照明が暗くなったときは、緊急脱出に対する備えと思うより、きれいな夜景を楽しむための演出なんだと思った方が良いですよね。






|　↑ページトップに戻る　|　飛行機の乗り方と空の旅へ戻る　|